ノヴィ・サド

観光・セルビア

ノヴィ・サド:ドナウの宝石、セルビアの第二の都市

セルビアの北部、ドナウ川沿いに位置するノヴィ・サドは、その美しい景観、豊かな歴史、そして活気あふれる文化で、近年ヨーロッパの旅行先として注目を集めています。

ノヴィ・サドは、セルビアの首都ベオグラードから北へ約80キロメートルの場所にあり、ドナウ川とその支流であるティサ川の合流点に近い戦略的な位置にあります。この街は、セルビアで2番目に大きい都市でありながら、ベオグラードのような喧騒とは異なり、ゆったりとした、しかし洗練された雰囲気を醸し出しています。2022年には欧州文化首都という栄誉にも輝き、その文化的な重要性が国際的に認められました。

ドナウ川の対岸にそびえるペトロヴァラディン要塞は、ノヴィ・サドの象徴であり、街の歴史と景観に深みを与えています。この要塞からは、ノヴィ・サドの街並みとドナウ川の壮大なパノラマビューを堪能することができます。

ノヴィ・サドの魅力:歴史と文化の融合

ノヴィ・サドの魅力は、その多層的な歴史と文化にあります。ハプスブルク帝国時代の影響を色濃く残す建築様式、セルビア正教会の荘厳な教会、そして多文化が織りなす独特の雰囲気が、訪れる人々を魅了します。

ペトロヴァラディン要塞:ドナウの雄姿

ノヴィ・サドを訪れるなら、まず外せないのがペトロヴァラディン要塞です。17世紀に建設されたこの要塞は、その巨大さと戦略的重要性から「ドナウのジブラルタル」とも呼ばれていました。要塞内には、博物館、ギャラリー、レストランがあり、歴史探訪だけでなく、イベントやコンサートの会場としても活用されています。特に、有名な「沈んだ時計台」は、そのユニークなデザインと、通常とは逆の針の動きで知られています。時計台からの眺めは格別で、ノヴィ・サドの街並みとドナウ川の雄大な流れを一望できます。

旧市街:歴史散策の楽しみ

ドナウ川沿いに広がるノヴィ・サドの旧市街は、石畳の小道、美しい広場、そして歴史的な建造物に彩られています。自由広場(Trg Slobode)は、街の中心であり、市庁舎やカトリック大聖堂などの見どころが集まっています。広場周辺には、カフェやブティックが軒を連ね、散策しながらショッピングや休憩を楽しむことができます。また、聖ジョージ大聖堂(Saborna crkva Svetog Đorđa)は、セルビア正教会の壮麗な教会で、内部のイコン画は必見です。ノヴィ・サドの旧市街は、歩いているだけでその歴史の息吹を感じさせてくれます。

ドナウ公園:都会のオアシス

街の中心部にあるドナウ公園(Dunavski park)は、市民の憩いの場となっています。緑豊かな木々、美しい池、そして彫刻が点在し、都会の喧騒から離れてリラックスできる空間を提供しています。公園内には、カフェや子供向けの遊具もあり、家族連れにも人気です。特に春や夏には、新緑が美しく、散策するのに最適です。ドナウ公園は、ノヴィ・サドの市民生活を垣間見ることができる場所でもあります。

ノヴィ・サド周辺の魅力:自然と文化の探求

ノヴィ・サドの魅力は、都市部だけにとどまりません。周辺地域には、豊かな自然や、独自の文化を持つ魅力的な場所が点在しています。

フルシュカ・ゴーラ国立公園:ワインと修道院の宝庫

ノヴィ・サドから車で約30分の距離にあるフルシュカ・ゴーラ国立公園(Fruška Gora National Park)は、「セルビアのシナイ山」とも呼ばれる、自然の美しさと宗教的な遺産が共存する地域です。この地域は、16世紀から18世紀にかけて建設された数多くのセルビア正教会の修道院で知られています。これらの修道院は、それぞれが独自の歴史と建築様式を持ち、静寂な雰囲気の中で信仰の歴史を感じることができます。また、フルシュカ・ゴーラは、セルビア有数のワイン産地としても有名です。丘陵地帯にはブドウ畑が広がり、多くのワイナリーで地元のワインを試飲することができます。自然の中をハイキングしたり、サイクリングしたりするのもおすすめです。

スレムスキ・カルロヴツィ:歴史とワインの町

フルシュカ・ゴーラ国立公園の麓に位置するスレムスキ・カルロヴツィ(Sremski Karlovci)は、かつてセルビアの精神的、文化的な中心地であった歴史的な町です。バロック様式の美しい建築物が立ち並び、落ち着いた雰囲気があります。ここでは、セルビア正教会の大司教座神学校、そして有名なパトリス・バタ・チェリッチのワインセラーなどが訪れることができます。特に、この町で造られる「ベルモット」は有名で、試飲を楽しむことができます。スレムスキ・カルロヴツィは、静かで趣のある雰囲気を求める旅行者におすすめです。

ティサ川:穏やかな水辺の風景

ノヴィ・サドを流れるティサ川は、ドナウ川とはまた違った穏やかな風景を提供します。ティサ川沿いを散策したり、ボートトリップを楽しんだりするのも良いでしょう。特に、夏には川沿いのカフェで涼みながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。ティサ川は、ノヴィ・サドのもう一つの顔を見せてくれる存在です。

ノヴィ・サドのグルメ:セルビアの味覚を堪能

ノヴィ・サドの食文化は、セルビアの伝統的な料理と、周辺地域の多様な影響が融合した、豊かで美味しいものです。

伝統的なセルビア料理

ノヴィ・サドでぜひ試したいのが、チェヴァピ(ćevapi)です。これは、挽肉をスパイスで味付けし、細長く成形して焼いたもので、セルビアの国民食とも言えます。パンに挟んで、玉ねぎやカヤマック(クリームチーズのようなもの)と一緒に食べるのが定番です。また、カラユデル(karađorđeva šnicla)も人気があります。これは、豚肉や子牛肉の薄切りにハムとカヤマックを巻き込み、パン粉をつけて揚げた料理で、ボリューム満点です。

肉料理だけでなく、サルマ(sarma)もおすすめです。これは、キャベツの葉やブドウの葉で、ひき肉や米を包んで煮込んだ料理で、家庭的な温かみのある味わいです。スープ類も豊富で、パシュター(pašteta)(肉のテリーヌ)や、シュプ(supa)(スープ)なども提供されています。

地元の食材を活かした料理

ノヴィ・サド周辺は農業も盛んで、新鮮な野菜や果物、そして乳製品が豊富です。これらの地元の食材を活かした料理も楽しめます。特に、ポムス(pomas)と呼ばれる、野菜を煮込んだり焼いたりした料理は、ヘルシーで優しい味わいです。

カフェ文化とスイーツ

セルビアでは、コーヒー文化が根付いており、ノヴィ・サドにも数多くのカフェがあります。朝食や午後の休憩に、美味しいコーヒーと共に、プレチャニツァ(prečanica)(甘いパン)や、コラチ(kolači)(ケーキやクッキー)を楽しむことができます。特に、カヤマックを使ったスイーツは、濃厚でクリーミーな味わいが特徴です。

ワインとラキヤ

前述の通り、ノヴィ・サド周辺はワインの産地としても有名です。地元のワイナリーを訪れて、様々な種類のワインを試飲することをおすすめします。また、セルビアの代表的な蒸留酒であるラキヤ(rakija)も、食後酒として親しまれています。プルーン、アプリコット、ブドウなど、様々なフルーツから作られるラキヤは、その土地ならではの風味を楽しめます。

ノヴィ・サドへのアクセスと滞在

ノヴィ・サドへのアクセスは、主に空路と陸路になります。

空港

最寄りの国際空港は、ベオグラード・ニコラ・テスラ空港(Nikola Tesla Airport Belgrade, BEG)です。空港からノヴィ・サドまでは、バスやタクシー、またはレンタカーで約1時間半から2時間程度です。

鉄道・バス

ベオグラードからは、頻繁に運行されているバスや鉄道でノヴィ・サドへ行くことができます。所要時間は約1時間半です。

宿泊施設

ノヴィ・サドには、高級ホテルからアットホームなゲストハウス、アパートメントまで、様々なタイプの宿泊施設があります。予算や好みに合わせて選ぶことができます。旧市街やドナウ川沿いに宿泊すると、観光に便利です。

まとめ

ノヴィ・サドは、その美しい景観、豊かな歴史、そして活気あふれる文化、美味しいグルメと、多様な魅力を持つ街です。ドナウ川の雄大な流れ、ペトロヴァラディン要塞の歴史的な重み、そして旧市街の charming な雰囲気は、訪れる人々を魅了してやみません。周辺のフルシュカ・ゴーラ国立公園やスレムスキ・カルロヴツィでは、自然と歴史、そしてワインを堪能することができます。セルビアの隠れた宝石とも言えるノヴィ・サドは、ルーマニアやハンガリーへの旅行の立ち寄り地としても、また、独立した旅行先としても、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。ゆったりとした時間の中で、ヨーロッパの新たな魅力を発見したい方におすすめの都市です。

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