ナント:ロワール川のほとりに息づく、芸術と歴史の都
ナントの魅力:海と川が出会う、洗練された都市
フランス西部、大西洋に注ぐロワール川の河口近くに位置するナントは、かつてブルターニュ公国の首都として栄え、豊かな歴史と文化を育んできた都市です。近年は、産業都市としての顔から、文化・芸術の都へと華麗なる転身を遂げ、近年ますます注目を集めています。海と川が交錯する立地は、都市に独特の風情を与え、訪れる人々を魅了します。
ナントの魅力は、その多様性にあります。歴史的な建築物と現代アートが共存し、活気あふれる市場と洗練されたブティックが並び、伝統的なグルメと革新的な料理が味わえます。古い港町としての面影を残しながらも、常に新しい風を取り入れ、進化し続けるナントは、飽きさせない魅力に満ちています。
ナントへのアクセス
ナント国際空港(Nantes Atlantique Airport, NTE)からは、バスやタクシーで市内中心部へアクセス可能です。パリからはTGV(高速鉄道)で約2時間と、アクセスも良好です。市内交通は、トラムやバスが発達しており、効率的に観光できます。
ナントの歴史と文化
ナントの歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。中世にはブルターニュ公国の中心地として栄え、多くの歴史的建造物が築かれました。16世紀には「ナントの勅令」が発布され、宗教的寛容の象徴ともなったこの地は、その後も商業都市として発展しました。
20世紀後半からは、造船業などの衰退により一時的な停滞期もありましたが、1980年代以降、「Île de Nantes」(ナント島)の再開発を皮切りに、都市再生プロジェクトが精力的に進められました。このプロジェクトにより、ナントは「機械の巨像」をはじめとするユニークなアート作品が街中に現れ、現代アートの都市としても国際的な評価を得るようになりました。
ナントの観光スポット
シャトー・デ・デュクス・ド・ブルターニュ (Château des Ducs de Bretagne)
ナントのランドマークとも言えるこの城は、かつてブルターニュ公の居城でした。現在は博物館となっており、ブルターニュ地方の歴史や文化について学ぶことができます。城壁からはナント市街を眺めることができ、散策するだけでも楽しめます。
レ・マシン・ド・ナン(Les Machines de l’île)
ナントを代表する現代アートプロジェクトです。かつて造船所だった跡地を利用し、巨大な機械仕掛けのアート作品が展示されています。中でも、全長12メートルの象「グランド・エルファント」(Grand Éléphant)は必見で、実際に乗って街を散策することもできます。その他にも、遊園地のようなアトラクションや、クリエイティブな展示があり、大人も子供も夢中になれる場所です。
ブーティック・デュ・ヴァン(Boutiques du Vin)
ナント周辺は、ミュスカデなどのワインの産地としても有名です。このワインショップでは、地元のワインを試飲したり、購入したりすることができます。ワイン好きにはたまらないスポットです。
ジャルダン・デ・プラント (Jardin des Plantes)
広大な植物園で、四季折々の美しい花々や珍しい植物を楽しむことができます。園内にはカフェもあり、リラックスした時間を過ごせます。
パッサージュ・ポムレー (Passage Pommeraye)
19世紀に建てられた美しいアーケード街です。ガラス屋根から差し込む光が幻想的な雰囲気を演出し、おしゃれなブティックやカフェが並んでいます。ナントの優雅な雰囲気を肌で感じられる場所です。
ブルターニュ歴史博物館 (Musée d’Histoire de Bretagne)
シャトー・デ・デュクス・ド・ブルターニュ内にあり、ブルターニュ公国の歴史から現代に至るまでの歩みを、貴重な資料や展示品と共に紹介しています。
ナント大聖堂 (Cathédrale Saint-Pierre-et-Saint-Paul de Nantes)
ゴシック様式の壮麗な大聖堂で、その歴史は15世紀にまで遡ります。内部には、フランソワ2世とマルグリット・ド・フォワの墓碑など、見どころが多くあります。
Île de Nantes
ナント島は、かつての造船所の跡地を再開発した、現代アートと革新的な建築が集まるエリアです。レ・マシン・ド・ナンはもちろん、ユニークなデザインの建物や、川沿いの散策路など、歩くだけでも刺激的な場所です。
ナントのグルメ
ブルターニュ地方は、クレープやガレット、シーフードが有名ですが、ナントではそれらに加えて、洗練されたフレンチが楽しめます。海に近いこともあり、新鮮な魚介類を使った料理は絶品です。また、ミュスカデワインとのペアリングもおすすめです。
シーフード
新鮮な牡蠣、ホタテ、ムール貝など、海の恵みを堪能できます。特に、大西洋で獲れた新鮮な魚介類は、ナントの食文化の重要な一部です。
ガレットとクレープ
ブルターニュ地方の代表的な料理。そば粉で作られたガレットは、ハムやチーズ、卵などを挟んで。甘いクレープは、フルーツやチョコレートソースを添えて。軽食にもデザートにもぴったりです。
ラドゥーシュ・ナンテーズ (Râpadou Nantais)
ナント風のポテト料理で、すりおろしたジャガイモを焼いたり揚げたりしたものです。素朴ながらも味わい深い一品です。
プティ・ベール (Petit Beurres)
ナント発祥のビスケットで、サクサクとした食感と上品な甘さが特徴です。お土産にも喜ばれます。
ミュスカデワイン (Muscadet)
ナント周辺で生産される白ワインで、すっきりとした酸味とフルーティーな香りが特徴です。シーフードとの相性は抜群です。
ナント周辺の観光
ナントは、ロワール川流域の美しい古城群へのアクセスも良好です。日帰りで訪れることができる場所も多く、ナント観光と合わせて楽しむのがおすすめです。
アンジェ (Angers)
ナントから電車で約1時間。壮大なアンジェ城と、「黙示録のタペストリー」で有名なタペストリー博物館があります。
ギエル (Guérande)
ナントからバスで約1時間。中世の城壁に囲まれた美しい町で、塩田としても有名です。塩の収穫風景を見学することもできます。
ラ・ロシェル (La Rochelle)
ナントから電車で約2時間。港町として栄え、古い港の塔や水族館などが魅力的です。
ナントの宿泊施設
ナントには、高級ホテルからブティックホテル、B&Bまで、様々なタイプの宿泊施設があります。中心部には多くのホテルが集まっており、観光に便利です。
まとめ
ナントは、歴史、文化、芸術、グルメ、そして自然の魅力が融合した、非常に魅力的な都市です。かつての栄光と、現代の革新的なエネルギーが共存するこの街は、訪れる人々に新たな発見と感動を与えてくれるでしょう。特に、レ・マシン・ド・ナンは、ナントならではのユニークな体験を提供してくれます。ロワール川のほとりに佇む、洗練された芸術の都ナントを、ぜひ訪れてみてください。
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