メヘレン(マリーヌ/メシェルン):ベルギーの隠れた宝石
ベルギーといえば、ブリュッセルやブルージュ、アントワープが有名ですが、その陰に隠れた魅力的な都市があります。それが、メヘレン(オランダ語: Mechelen、フランス語: Malines、ドイツ語: Mechlen、メシェルンとも呼ばれる)です。首都ブリュッセルの北約25km、アントワープの南約15kmに位置し、古くから織物産業で栄え、16世紀にはネーデルラント総督の居城があった歴史的な街です。この記事では、メヘレンの魅力を詳細に、そして網羅的にご紹介します。
メヘレンの概要と歴史的背景
メヘレンは、ウィンド川とネーテ川の合流地点に位置し、かつては重要な商業・交通の要衝でした。特に、15世紀から16世紀にかけては、ブルゴーニュ公国、そしてハプスブルク家の統治下で、ネーデルラントの政治・文化の中心地として栄華を極めました。有名な「ネーデルラントの猫」という言葉が生まれたのもこの頃です。しかし、宗教改革や度重なる戦争の影響で、その地位は次第に低下していきました。それでも、メヘレンは多くの歴史的建造物や芸術品を今日に伝えており、その豊かな歴史を感じさせる街並みが魅力となっています。
地理とアクセス
メヘレンは、ベルギーの中心部に位置しており、主要都市からのアクセスは非常に便利です。ブリュッセル中央駅やアントワープ中央駅から電車で約20分~30分程度と、日帰り旅行にも最適です。シャルルロワ空港やブリュッセル空港からも、鉄道を乗り継げばアクセス可能です。市内はコンパクトで、主要な観光スポットは徒歩で巡ることができます。
メヘレンの主要観光スポット
メヘレンの街には、見どころが満載です。歴史的な建造物、美しい教会、そしてユニークな博物館など、訪れる人々を飽きさせません。
聖ルーモルド大聖堂 (Sint-Romboutskathedraal)
メヘレンのランドマークとも言える、圧倒的な存在感を放つ大聖堂です。13世紀から16世紀にかけて建設され、ゴシック様式の傑作として知られています。高さ97メートルの鐘楼は、登ることができ、そこからの眺めはまさに絶景です。街並みはもちろん、遠くの風景まで見渡せます。聖歌隊席に描かれたフランドル絵画や、聖ルーモルドの遺骨を納める聖遺物箱も見どころです。
旧市庁舎 (Stadhuis)
大聖堂のすぐ隣にある、美しいルネサンス様式の旧市庁舎です。かつてはネーデルラント連邦の議会が開かれた場所としても知られています。その壮麗なファサードは、メヘレンの歴史的な重厚さを物語っています。内部も見学可能で、豪華な部屋や装飾を見ることができます。
聖ペテロ・パウロ教会 (Sint-Pieter-en-Sint-Pauluskerk)
バロック様式の美しい教会で、内部には精巧な彫刻や絵画が数多く飾られています。特に、説教壇の彫刻は見事です。静かで荘厳な雰囲気に包まれており、心を落ち着けて参拝することができます。
国立鐘楼博物館 (Nationaal Museum van Speelklok tot Pierement)
これはユニークな博物館で、自動演奏楽器やオルゴール、オルガンなどのコレクションが展示されています。実際に音を奏でる展示もあり、子供から大人まで楽しめます。メヘレンの音楽の歴史に触れることができる、貴重な体験ができるでしょう。
カレンベルク(カルメル会修道院) (Karmelietenkerk)
美しいバロック様式の教会で、静かな空間に心地よい静寂が広がっています。祭壇の装飾や、ステンドグラスの美しさは必見です。
ドミニカー教会 (Dominicanenkerk)
こちらも歴史ある教会で、その建築様式や内部の芸術作品に感銘を受けます。静かに祈りを捧げるのに適した場所です。
ホーフ・ヴァン・ブーテルスヘーム (Hof van Busleyden)
16世紀に建てられたルネサンス様式の邸宅で、現在はメヘレンの歴史や文化に関する展示を行っています。美しい中庭もあり、ゆったりとした時間を過ごせます。
プリンスホーフ(プリンス宮殿) (Prinsenhof)
かつてネーデルラント総督の居城であった場所で、現在の建物は再建されたものですが、その歴史的な意義は大きい場所です。かつての栄華を偲ぶことができます。
デ・ウイット (De Zwaan)
メヘレンで最も美しいと言われる、16世紀のギルドハウスです。その精巧な装飾は、当時の職人たちの技術の高さを示しています。現在はレストランやカフェとして利用されていることもあります。
メヘレン周辺情報
メヘレン市内だけでなく、周辺地域にも魅力的なスポットがあります。日帰り旅行や、メヘレンを拠点とした観光もおすすめです。
トールン・ファン・ティール(ティール城)
メヘレンから電車で短時間で行けるティールには、美しい城があります。城の周りの風景も風光明媚で、散策に最適です。
アントワープ
メヘレンから電車で約15分と非常に近いアントワープは、ダイヤモンドの街として有名です。ノートルダム大聖堂、アントワープ中央駅、ルーベンスの家など、見どころは数え切れません。
ブリュッセル
ベルギーの首都ブリュッセルへも、メヘレンから電車で約20分です。グランプラス、小便小僧、アトミウムなど、見どころ満載です。
ゲント
中世の雰囲気が残る美しい街ゲントも、メヘレンから電車で約30分程度で行くことができます。ゲントの聖バーフ大聖堂や、グラフェン城は必見です。
メヘレンのグルメ
ベルギーといえば、ビール、ワッフル、チョコレート、フライドポテトが有名ですが、メヘレンにも地元の味覚を楽しむことができます。
ベルギービール
メヘレンには、地元の醸造所で作られたユニークなビールがあります。市場やバーで、様々な種類のベルギービールを試してみてください。
メヘレン風フリカデル (Mechelse frikadellen)
メヘレン名物のミートボール料理です。肉汁たっぷりで、ソースとの相性も抜群です。
チョコレート
ベルギー全土で美味しいチョコレートが楽しめますが、メヘレンのショコラティエでも、こだわりのチョコレートを見つけることができます。
ワッフル
ブリュッセル風、リエージュ風など、様々な種類のワッフルがあります。温かいワッフルにクリームやフルーツを添えて、デザートや軽食に。
フライドポテト
ベルギーを代表するソウルフード。カリッと揚がったフライドポテトに、お好みのソースをかけて。
レストラン
メヘレンには、伝統的なベルギー料理を提供するレストランから、モダンなフュージョン料理まで、多様な選択肢があります。地元の食材を使った料理をぜひ味わってみてください。
メヘレンでの体験談と感想
メヘレンは、期待以上に魅力的な街でした。派手さはありませんが、落ち着いた雰囲気の中で、歴史と芸術に触れることができます。特に、聖ルーモルド大聖堂の鐘楼からの眺めは忘れられません。街を歩いているだけで、中世にタイムスリップしたかのような感覚になります。観光客も、ブリュッセルやブルージュに比べると少なく、ゆったりと観光を楽しむことができました。地元の人が親切で、温かい雰囲気も心地よかったです。
メヘレンの魅力は、その「隠れた宝石」という言葉に尽きます。大都市の喧騒から離れて、ベルギーの真の魅力を体験したい方には、ぜひ訪れていただきたい街です。
まとめ
メヘレンは、ベルギーの歴史、文化、そして美食を堪能できる、まさに隠れた宝石のような街です。歴史的な建造物の数々、美しい教会、そして地元の味覚は、訪れる人々を魅了します。主要都市からのアクセスも良好で、日帰り旅行にも最適です。次回のベルギー旅行では、ぜひメヘレンを訪れて、その魅力を肌で感じてみてください。
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