リエージュ:ベルギー東部の隠れた宝石、その魅力に迫る
ベルギーの南東部に位置するリエージュは、マース川沿いの風光明媚な都市であり、その豊かな歴史、活気ある文化、そして美食で知られています。他のベルギーの主要都市に比べて観光客は比較的少なく、よりローカルで authentic な体験を求める旅行者にとって、まさに隠れた宝石と言えるでしょう。この都市の奥深い魅力を、観光、グルメ、周辺情報、そして筆者の感想を交えながら、詳細にご紹介します。
リエージュの歴史と文化:古都の面影と現代の息吹
リエージュの歴史は古く、8世紀に聖ランベールがこの地に教会を建立したことに始まります。その後、リエージュ司教領として発展し、中世にはヨーロッパ有数の宗教的・政治的中心地となりました。その名残は、現在も市内に点在する歴史的建造物から感じることができます。
カテドラル・サン=ポール (Cathédrale Saint-Paul):荘厳なゴシック様式
リエージュのシンボルとも言えるこの大聖堂は、ゴシック様式の傑作です。その壮麗なファサード、ステンドグラス、そして内部の静謐な雰囲気は、訪れる者を圧倒します。特に、聖ランベールの遺骨が納められているとされる宝物館は必見です。
パラ・デ・プリンス=エヴェケス (Palais des Princes-Évêques):権力の中心
かつてのリエージュ司教の居城であったこの建物は、現在は裁判所として利用されています。ルネサンス様式とバロック様式が融合した壮麗な建築は、当時の権力の大きさを物語っています。広場に面したその威容は、圧巻の一言です。
ラ・モンテーニュ・デ・ボネ (La Montagne de Bueren):市民の憩いの場と絶景
374段の階段を登りきると、リエージュ市街を一望できる絶景が待っています。これは、1881年にナポレオンの遠征を記念して造られたもので、市民の憩いの場としても親しまれています。体力に自信のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
リエージュは、歴史的な建造物だけでなく、現代アートや音楽も盛んな都市です。現代美術館 (Musée d’Art Moderne et d’Art Contemporain) や、毎年夏に開催されるジャズ・オペレーション (Jazz Opération) など、多様な文化に触れることができます。
リエージュのグルメ:伝統と革新が織りなす味覚の旅
ベルギーといえば、ワッフルやチョコレート、ビールが有名ですが、リエージュにはそれら以外にも独自の食文化があります。地元の食材を活かした伝統料理と、それを現代風にアレンジした革新的な料理の両方を楽しむことができます。
リエージュ風ワッフル (Gaufre de Liège):外はカリカリ、中はもちもち
リエージュのワッフルは、ブリュッセル風ワッフルとは異なり、生地にパールシュガーが練り込まれているのが特徴です。そのため、焼くと表面がキャラメリゼされ、香ばしくカリカリとした食感になります。温かいワッフルにフルーツやホイップクリームを添えて食べるのがおすすめです。
リエージュ風ミートボール (Boulets à la Liégeoise):濃厚なトマトソース
リエージュの代表的な郷土料理の一つです。挽肉で作ったミートボールを、甘酸っぱいトマトベースのソースで煮込んだ料理で、付け合わせにフライドポテトやパンを添えていただくのが一般的です。地元の人々に愛される、家庭的な味わいです。
マルゲリット (Marguerite):リエージュの特産品
リエージュは、その周辺地域で栽培される「マルゲリット」という梨の品種でも知られています。このマルゲリットを使ったデザートやリキュールは、リエージュならではの味覚体験と言えるでしょう。
地ビールの数々:地元の醸造所巡り
ベルギー全土に言えることですが、リエージュにも個性豊かな地ビールがたくさんあります。地元の醸造所を訪れたり、レストランで店員さんにおすすめを聞いたりして、お気に入りの一杯を見つけるのも楽しいでしょう。
リエージュ周辺のおすすめスポット:日帰り旅行で広がる楽しみ
リエージュ市内だけでなく、その周辺にも魅力的な場所がたくさんあります。日帰り旅行で訪れるのに最適なスポットをいくつかご紹介します。
スパ (Spa):世界的に有名な温泉保養地
「スパ」という言葉の語源となった、世界的に有名な温泉保養地です。古代ローマ時代からその効能が知られており、現在でも多くの人々がリラクゼーションや健康増進のために訪れます。美しい自然に囲まれた街並みも魅力です。
デュルビュイ (Durbuy):世界最小の城下町
「世界最小の城下町」としてギネスブックにも登録されているデュルビュイは、絵本から飛び出してきたような可愛らしい街並みが特徴です。石畳の道、古城、そして周辺の豊かな自然は、散策するだけで心が癒されます。
ボラン=シュル=メーズ (Bologna-sur-Meuse):アルデンヌ地方の自然を満喫
マース川沿いに広がるアルデンヌ地方は、豊かな森と渓谷が織りなす美しい自然景観で知られています。カヌーやハイキングなど、アウトドアアクティビティを楽しむのに最適です。
リエージュ訪問のヒントと筆者の感想
リエージュへのアクセスは、ブリュッセルから電車で約1時間と良好です。街の中心部は徒歩で十分に観光できますが、丘陵地帯もあるため、バスやタクシーの利用も考慮すると良いでしょう。
旅の計画
観光シーズンは夏ですが、春や秋も気候が穏やかで比較的空いているためおすすめです。地元の市場 (Marché de La Batte) が開催される日曜日は、活気があって楽しいですが、混雑も予想されます。
筆者の感想
リエージュは、ベルギーの他の主要都市のような賑やかさはありませんが、その分、落ち着いた雰囲気の中で、歴史、文化、そして美食をじっくりと堪能できる都市だと感じました。特に、地元の人々の温かさや、気取らない雰囲気が心地よかったです。モンテーニュ・デ・ボネからの眺めは、想像以上に素晴らしく、旅の疲れを癒してくれました。また、リエージュ風ワッフルは、これまで食べてきたワッフルとは一線を画す美味しさで、忘れられない味となりました。ベルギー旅行では、ブリュッセルやブルージュにばかり注目しがちですが、リエージュは間違いなく訪れる価値のある、隠れた魅力に満ちた都市です。
まとめ
リエージュは、その豊かな歴史遺産、活気ある文化、そして美味しいグルメで、訪れる旅行者を魅了する都市です。静かで落ち着いた雰囲気の中で、ベルギーの本来の姿に触れたい方には、特におすすめしたい場所です。今回ご紹介した情報が、あなたのリエージュ旅行の計画に役立てば幸いです。
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