ディジョン:ブルゴーニュ地方の中心で美食と歴史に浸る旅
フランス東部に位置するブルゴーニュ地方の中心都市、ディジョン。ワインの産地として世界的に有名ですが、その魅力はワインだけにとどまりません。中世の面影を残す美しい街並み、豊かな食文化、そして数々の見どころが、訪れる人々を魅了してやみません。今回は、そんなディジョンの魅力を徹底的にご紹介します。
ディジョンの概要と歴史
ディジョンは、かつてブルゴーニュ公国の首都として栄えた歴史を持つ都市です。その繁栄は、芸術、文化、そして美食の発展に大きく貢献しました。特に、ヴァロワ朝ブルゴーニュ公国の時代には、ディジョンはヨーロッパでも有数の文化的な中心地となり、多くの壮麗な建築物や芸術作品が残されました。街の主要な観光スポットの多くは、この時代の遺産です。
現代においても、ディジョンはブルゴーニュ地方の行政、経済、文化の中心としての役割を担っています。活気あふれる市場、洗練されたブティック、そして数々のレストランやカフェが、街に彩りを添えています。
ディジョンの主要観光スポット
ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Dijon)
ディジョンのシンボルとも言えるゴシック様式の大聖堂です。その壮麗なファサードには、多くの彫刻が施されており、見る者を圧倒します。内部もまた、ステンドグラスの美しさや静謐な雰囲気に包まれ、訪れる人々に感動を与えます。特に、夜のライトアップは幻想的で、街の夜景を一層引き立てます。
ブルゴーニュ公宮殿(Palais des Ducs de Bourgogne)
かつてのブルゴーニュ公国の居城であり、現在は美術館(Musée des Beaux-Arts de Dijon)として利用されています。壮麗な建築様式は、ディジョンの栄華を今に伝えています。美術館には、ブルゴーニュ公のコレクションをはじめ、古代から現代までの幅広い美術品が収蔵されており、美術愛好家にとっては見逃せない場所です。
フィリップ善良公の塔(Tour Philippe le Bon)
ブルゴーニュ公宮殿に隣接するこの塔からは、ディジョンの街並みを一望できます。塔の頂上からの眺めは格別で、赤茶色の屋根が連なる美しい街並みと、遠くの緑豊かな丘陵地帯のコントラストは、まさに絵画のようです。昇るには少し階段がありますが、その労力に見合うだけの絶景が待っています。
ディジョン・マスタード博物館(Musée de la Moutarde de Dijon)
「ディジョンマスタード」は、世界的に有名な調味料です。この博物館では、マスタードの歴史、製造方法、そして様々な種類のマスタードを学ぶことができます。試食コーナーもあり、お土産選びにも最適です。ディジョンならではのユニークな体験ができる場所として人気があります。
旧市街の散策
ディジョンの旧市街は、石畳の小道、半木骨造りの建物、そして隠れ家のような中庭が点在し、まるでタイムスリップしたかのような気分を味わえます。ぶらぶらと散策するだけでも楽しめますし、ふと立ち寄ったカフェで休憩するのも至福のひとときです。特に、「ソヴァージュのフクロウ」(Chouette de Dijon)と呼ばれる、街の幸運のシンボルとされるフクロウの彫刻を探しながら歩くのも楽しいアクティビティです。
ディジョンのグルメ:美食の都を堪能する
ディジョンは、美食の都としても知られています。ブルゴーニュワインはもちろんのこと、数多くの伝統料理や名物があります。
ディジョンマスタード
先述した博物館でも紹介しましたが、ディジョンマスタードは外せません。様々な料理に使われるのはもちろん、そのままパンにつけても美味しい逸品です。お土産としても大変喜ばれます。
ブルゴーニュ風エスカルゴ(Escargots de Bourgogne)
ニンニク、パセリ、バターで風味豊かに調理されたエスカルゴは、ブルゴーニュ地方の代表的な料理です。ディジョンでも多くのレストランで味わうことができます。
コック・オー・ヴァン(Coq au Vin)
鶏肉を赤ワインでじっくり煮込んだ伝統的な料理です。ブルゴーニュワインの芳醇な香りと鶏肉の旨味が絶妙に調和します。
ボッフ・ブルギニョン(Bœuf Bourguignon)
牛肉を赤ワインと野菜で煮込んだ、こちらもブルゴーニュ地方を代表する煮込み料理です。とろけるような牛肉と濃厚なソースが食欲をそそります。
シャルキュトリー
ブルゴーニュ地方は、ハムやソーセージなどのシャルキュトリーも有名です。地元のマルシェ(市場)で新鮮なものを購入し、テイクアウトしてピクニックを楽しむのもおすすめです。
チーズ
エポワス(Époisses)などのウォッシュタイプのチーズをはじめ、ブルゴーニュ地方には個性豊かなチーズがたくさんあります。ワインとのペアリングをぜひお楽しみください。
パティスリー
ディジョンには、美しいケーキやタルトを提供するパティスリーも数多くあります。食後のデザートはもちろん、カフェで一息つく際にもぴったりです。
ディジョン周辺の魅力
ディジョン市内だけでなく、その周辺にも見どころはたくさんあります。日帰り旅行で訪れるのに最適な場所をご紹介します。
ヴォーヌ=ロマネ(Vosne-Romanée)などのワイン産地
世界的に有名なロマネ・コンティなどを産出するグラン・クリュが点在する地域です。ブドウ畑の美しい景色を眺めながら、ワインセラーを訪れてテイスティングを楽しむのは、ワイン愛好家にとって夢のような体験でしょう。ワイナリーツアーに参加するのもおすすめです。
ボーヌ(Beaune)
ディジョンから電車で約20分。中世の面影を色濃く残す美しい街です。「オテル・デュー(Hospices de Beaune)」は、かつての施療院で、その美しいルネサンス様式の建築は必見です。また、ボーヌはワインの取引の中心地としても有名で、数多くのワインショップやカーヴ(ワインセラー)があります。
オート=コット・ド・ニュイ(Hautes-Côtes de Nuits)
ディジョンの北東に広がる丘陵地帯で、比較的リーズナブルながらも質の高いワインが生産されています。のどかな田園風景が広がり、ドライブやサイクリングに最適です。
ディジョン旅行のヒント
ベストシーズン:春(4月~6月)と秋(9月~10月)がおすすめです。気候が穏やかで、街歩きや周辺の散策に最適です。特に秋は、ブドウの収穫時期でもあり、ワインを楽しむにはぴったりの季節です。
アクセス:パリからTGVで約1時間40分と、アクセスは良好です。マルヌ・ラ・ヴァレ(ディズニーランド・パリ)からも乗り換えなしでアクセス可能です。
移動手段:ディジョン市内は、徒歩での観光が中心となります。中心部はコンパクトにまとまっています。周辺地域への移動は、レンタカー、バス、またはタクシーが便利です。ワイン産地を巡るなら、ツアーに参加するのも良いでしょう。
宿泊:中心部には、高級ホテルからブティックホテル、アパートメントまで様々なタイプの宿泊施設があります。早めの予約をおすすめします。
言語:公用語はフランス語ですが、観光地では英語が通じる場合も多いです。簡単なフランス語の挨拶を覚えておくと、より旅が楽しくなるでしょう。
まとめ
ディジョンは、単なるブルゴーニュワインの玄関口ではありません。歴史、芸術、そして何よりも食に溢れた、奥深い魅力を持つ都市です。中世の美しい街並みを散策し、地元の食材をふんだんに使った伝統料理を味わい、そしてその土地で生まれたワインに舌鼓を打つ。そんな至福のひとときを過ごすことができるでしょう。ワイン好きはもちろん、歴史や食文化に興味がある方にも、自信を持っておすすめできる旅先です。ぜひ、ブルゴーニュの中心で、忘れられない体験をしてください。

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