ベラト

観光・アルバニア

ベラト:バルカン半島の歴史と自然が織りなす宝石

アルバーニア、その知られざる魅力を秘めた国。その中でも、ユネスコ世界遺産にも登録されている古都ベラトは、訪れる者を古のロマンへと誘う特別な場所です。

ベラトの概要:千の窓を持つ城壁都市

ベラトは、アルバーニア中部、オソム川のほとりに位置する都市です。その最大の特徴は、丘陵地に密集する白いオスマン様式の家々。これらの家々は、窓が多く、まるで「千の窓」を持つかのように見えることから、「千の窓の町」とも呼ばれています。この独特な景観は、ベラトの歴史的建造物群として、2008年にユネスコ世界遺産に登録されました。

ベラトの歴史は古く、紀元前4世紀頃まで遡ります。イリュリア人、ギリシャ人、ローマ人、ビザンチン帝国、オスマン帝国など、数多くの文明の支配を経て、その歴史の息吹を今に伝えています。この多様な歴史が、ベラトの建築様式や文化に複雑な影響を与えています。

地理的特徴と気候

ベラトは、標高約166メートルの丘陵地に広がり、市街地は主にカレバ・ベラト(ベラト城)の周辺と、オソム川を挟んで対岸の低地に分かれています。城壁に囲まれたカレバ地区は、今も人々が生活する城塞都市として、独特の雰囲気を醸し出しています。周辺は山岳地帯に囲まれ、オソム川が街を潤しています。

気候は、地中海性気候の影響を受け、夏は暑く乾燥し、冬は比較的温暖で湿潤です。春と秋は気候が穏やかで、観光には最も適した季節と言えるでしょう。夏の暑さ対策や、冬の降雨に備える服装の準備が重要です。

ベラトの観光:歴史探訪と絶景体験

ベラトの魅力は、何と言ってもその歴史的な街並みと、息をのむような絶景にあります。

ベラト城(カレバ・ベラト)

ベラト観光の中心となるのが、ベラト城(カレバ・ベラト)です。丘の上にそびえ立つこの城は、13世紀に建設されたもので、現在でも多くの住民が生活する、ヨーロッパでも数少ない現役の城塞都市です。城壁に沿って歩けば、眼下に広がるベラトの街並み、そしてオソム川の雄大な景色を楽しむことができます。

城内には、聖マリア教会(Onufri Museum)があります。ここでは、16世紀の有名なイコン画家、オヌフリが描いた数々の聖画像が展示されており、その鮮やかな色彩と精緻な描写は必見です。また、城内には赤のモスク黒のモスクなど、かつてイスラム教徒が築いたモスクの遺構も残されており、多様な歴史の痕跡を感じることができます。

ゴリツァ地区とマンガレム地区

ベラトの街は、オソム川を挟んで、主にマンガレム地区ゴリツァ地区に分かれています。マンガレム地区は、丘の斜面に建ち並ぶ「千の窓」を持つ白い家々が象徴的です。迷路のような細い石畳の道を散策しながら、家々の窓から差し込む光や、生活の息遣いを感じることができます。

一方、ゴリツァ地区は、オソム川の対岸に位置し、マンガレム地区とはゴリツァ橋(18世紀に架けられた石橋)で結ばれています。こちらは比較的静かで、より素朴な雰囲気が漂います。高台からの眺めは、マンガレム地区の家々が連なる壮観な景色を望むことができます。

オソム渓谷(Osumi Canyon)

ベラトから車で約1時間半の場所には、オソム渓谷(Osumi Canyon)があります。ここは、「アルバーニアのグランドキャニオン」とも呼ばれる、壮大な渓谷美を誇ります。特に、春の雪解け水によって水量が増した時期には、ラフティングやカヤックなどのアクティビティが楽しめ、スリル満点の体験ができます。夏場でも、その雄大な断崖絶壁は訪れる者を圧倒します。

ベラトのグルメ:伝統と地元の味覚

ベラトの食文化は、地元の新鮮な食材と、バルカン半島の伝統的な調理法が融合した素朴ながらも味わい深いものです。観光と合わせて、ぜひ地元の味覚を堪能してください。

代表的な料理

  • タヴェ・コシ(Tavë Kosi):ヨーグルトと卵で肉(主にラム肉)を煮込んだ、アルバーニアを代表する家庭料理です。ベラトでも多くのレストランで提供されており、クリーミーで優しい味わいが特徴です。
  • フェルゲセ(Fërgesë):トマト、ピーマン、チーズ、そして時折肉を加えてオーブンで焼いた料理です。パンと一緒に食べるのが一般的で、野菜の甘みとチーズのコクが食欲をそそります。
  • バイリャ(Byrek):パイ生地で肉、チーズ、ほうれん草などを包んで焼いた、薄くてパリパリとした食感の料理です。朝食やおやつとしても人気があります。
  • 地元の野菜と果物:ベラト周辺は農業が盛んで、新鮮なトマト、ナス、ピーマン、キュウリなどが豊富に採れます。これらの野菜をふんだんに使ったサラダや料理は格別です。また、イチジクやブドウなども旬の時期には味わえます。

飲み物

  • ラキア(Raki):バルカン半島で広く親しまれている蒸留酒です。ブドウや他の果物から作られ、アルコール度数が高いため、食前酒や食後酒として少量ずつ楽しまれます。
  • 地元のワイン:アルバーニアでもワイン造りが行われており、ベラト周辺でも地元のワイナリーで生産されたワインを味わうことができます。

レストランの選択肢

ベラトの街には、古民家を改装した雰囲気の良いレストランや、地元の人々が集まる素朴な食堂まで、様々なタイプの飲食店があります。特に、マンガレム地区やゴリツァ地区には、テラス席から美しい景色を眺めながら食事を楽しめるレストランが多くあります。地元の人々におすすめを聞いてみるのも良いでしょう。

ベラト周辺情報:日帰り旅行とアクティビティ

ベラトの滞在をより豊かにするために、周辺地域への日帰り旅行やアクティビティもおすすめです。

周辺の街へのアクセス

  • エルバサン(Elbasan):ベラトから北西に約1時間半の場所にある都市で、エルバサン城などの歴史的建造物があります。
  • ギロカストラ(Gjirokastër):ベラトから南へ約2時間半の場所にある、こちらもユネスコ世界遺産に登録されている「石の街」です。ベラトとはまた違った魅力を持つ古都です。
  • ティラナ(Tirana):アルバーニアの首都であり、ベラトからバスで約2時間半~3時間です。都市観光やショッピングを楽しむことができます。

アクティビティ

  • オソム渓谷でのアクティビティ:前述の通り、ラフティングやハイキングが楽しめます。
  • ワイナリー巡り:ベラト周辺には、地元のワインを生産するワイナリーが点在しており、試飲や見学が可能です。
  • ハイキング:ベラト周辺の山々では、美しい自然の中を歩くハイキングコースが整備されています。

ベラト旅行のヒントと注意点

ベラトへの旅行を計画する上で、いくつかのヒントと注意点があります。

交通手段

ベラトへは、ティラナ国際空港からバスやレンタカーでアクセスするのが一般的です。ティラナからベラト行きのバスは頻繁に運行されています。

ベラト市内は、徒歩での移動が中心となります。特に、城壁内や丘陵地の石畳の道は歩きやすい靴が必須です。ベラト城へは、坂道がきついため、タクシーを利用するのも良いでしょう。

言語と通貨

公用語はアルバーニア語です。観光地では英語が通じる場面も増えていますが、基本的なアルバーニア語の挨拶を覚えておくと、現地の人々との交流がより深まります。

通貨はアルバーニア・レク(ALL)です。主要な観光地やホテルではクレジットカードも利用できますが、小さな商店や市場では現金が必要となる場合が多いので、ある程度の現金を用意しておくと安心です。

文化とマナー

ベラトは歴史と伝統が息づく街です。訪問する際は、教会やモスクなどの宗教施設では肌の露出を控えるなど、敬意を払った服装を心がけましょう。

また、地元の人々は一般的に親切で温かいですが、写真撮影の際には、相手に許可を得るなど、配慮を忘れないようにしましょう。

まとめ

ベラトは、その息をのむような美しさ、深い歴史、そして温かい人々との出会いを通じて、訪れる者に忘れられない感動を与えてくれる都市です。千の窓を持つ家々が連なる丘、荘厳な城壁、そして美味しい地元の味覚。すべてが調和し、独特の魅力を醸し出しています。アルバーニアの隠れた宝石、ベラトで、あなただけの特別な体験を見つけてみてください。

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