アスティ:ピエモンテ州の歴史と美食が息づく街
イタリア、ピエモンテ州の輝きを放つ街、アスティ。この古都は、中世の面影を残す美しい街並みと、世界的に有名なワイン、そして豊かな美食で人々を魅了します。トリノから電車で約1時間というアクセスの良さも手伝い、日帰り旅行にも最適なデスティネーションですが、その魅力は一日では語り尽くせません。今回は、アスティの歴史、見どころ、グルメ、そして周辺情報まで、詳しくご紹介します。
アスティの歴史:中世の栄華とワインの系譜
アスティの歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。かつては重要な交易拠点として栄え、中世には「100の塔の街」と呼ばれるほど多くの塔がそびえ立つ、強力な自治都市でした。その繁栄の証は、現在も街のあちこちに残る歴史的建造物から垣間見ることができます。中でも、カテドラル・ディ・アスティ(アスティ大聖堂)やサン・ペトロニオ教会などの壮麗な教会は、当時の権勢を物語っています。
しかし、アスティを語る上で忘れてはならないのが、そのワインの歴史です。この地は、イタリアを代表するスパークリングワインであるアスティ・スプマンテの故郷。モスカート・ビアンコ種から造られるこの甘口のワインは、世界中の食卓を彩っています。アスティの郊外に広がるブドウ畑は、まさにこのワイン文化の源泉であり、その景観はピエモンテ州の美しさを象徴するものです。
アスティの観光:見どころを巡る
アスティの街歩きは、その歴史的な雰囲気を満喫することから始まります。中心部には、中世の面影を色濃く残す石畳の小道や、趣のある広場が点在しています。
カテドラル・ディ・アスティ (アスティ大聖堂)
街のシンボルとも言えるこの壮麗な大聖堂は、ゴシック様式を基調としながらも、ロマネスク様式やルネサンス様式の影響も受けており、その建築様式の変遷を見ることができます。内部のフレスコ画や祭壇彫刻も必見です。
ピアッツァ・アルフィエーリ (アルフィエーリ広場)
アスティの中心的な広場であり、活気あふれる市民の憩いの場です。広場に面した建物や、中央に立つヴィットーリオ・アルフィエーリの像は、この街の歴史と文化を感じさせてくれます。毎年9月に行われるアスティ祭の際には、この広場がメイン会場となり、中世の衣装をまとった人々がパレードを行う様子は圧巻です。
トーレ・トロラーナ (トロラーナの塔)
かつて「100の塔の街」と呼ばれたアスティの面影を残す、現存する数少ない塔の一つです。この塔からは、アスティの街並みと周辺の丘陵地帯の美しいパノラマビューを楽しむことができます。
サン・ペトロニオ教会
ロマネスク様式の美しい教会で、静かで荘厳な雰囲気を醸し出しています。内部の装飾も繊細で、見ごたえがあります。
シノダール教会 (Museo Diocesano)
大聖堂に隣接するこの博物館では、アスティとその周辺地域の宗教芸術品を鑑賞することができます。貴重な宝物や絵画が展示されています。
アスティのグルメ:ワインと共に味わうピエモンテの味
アスティは、美食の宝庫としても知られています。ピエモンテ州ならではの豊かな食材と、それを活かす伝統的な調理法が、訪れる人々を舌鼓させます。
アスティ・スプマンテ
まずは、やはりアスティ・スプマンテ。モスカート・ビアンコ種特有のフルーティーな香りと、きめ細やかな泡立ち、そして甘口の味わいは、食前酒としてはもちろん、デザートとの相性も抜群です。アスティのワイナリーを訪れて、本場の味を堪能するのもおすすめです。
タヤリン (Tajarin)
ピエモンテ州の代表的なパスタ、タヤリン。卵をふんだんに使った細麺のパスタは、その濃厚な味わいが特徴です。ラグーソースやキノコソースとの相性が良く、アスティのトラットリアでぜひ味わいたい一品です。
アニョロッティ・デル・プリ (Agnolotti del Plin)
「ピンチ」という意味を持つ、小さな詰め物入りパスタ。伝統的にはロースト肉の詰め物が多く、バターとセージでシンプルにいただくのが一般的ですが、ソースで変化をつけることもあります。
ブラ(Bollito Misto)
数種類の肉をじっくり煮込んだ、ピエモンテ州の伝統的な家庭料理。野菜も一緒に煮込まれ、素材の旨味が凝縮されています。サルサ・ヴェルデ(緑色のソース)やマスタードを添えていただきます。
トルタ・ディ・ノッチョーレ (Torta di Nocciole)
ピエモンテ州といえば、ヘーゼルナッツ。このヘーゼルナッツをたっぷり使ったヘーゼルナッツケーキは、しっとりとした食感と豊かな風味が特徴です。アスティ・スプマンテとの相性も抜群で、食後のデザートにぴったりです。
アスティのレストランは、伝統的なトラットリアから、より洗練されたリストランテまで様々です。地元の食材をふんだんに使った季節限定のメニューも楽しめますので、訪れる時期に合わせて選んでみてください。
アスティ周辺情報:ワイン街道と魅力的な村々
アスティの魅力は、街自体に留まりません。周辺地域には、美しいワイン産地や、魅力的な小さな村々が点在しており、訪れる価値があります。
ワイン街道 (Strada del Vino)
アスティ周辺は、ワイン街道が整備されており、車でのドライブがおすすめです。モスカート・ビアンコ種だけでなく、バルベーラ、ドルチェット、ネッビオーロなど、様々な品種のブドウ畑が広がり、その美しい景観は見る者を魅了します。途中でワイナリーに立ち寄り、テイスティングを楽しむのも良いでしょう。
アレス(Alba)
アスティから電車で約30分の場所にあるアレスは、「白トリュフの都」として世界的に有名です。毎年秋には、白トリュフの収穫祭が開催され、世界中から美食家が集まります。アスティとはまた違った、美食の魅力に触れることができます。
カザーレ・モンフェッラート(Casale Monferrato)
ユネスコ世界遺産にも登録されているモンフェッラートの丘陵地帯に位置する美しい街です。古代ユダヤ人地区など、ユニークな歴史的見どころがあります。
チンクエ・テッレ(Cinque Terre)
アスティから直接アクセスは少し遠いですが、もし時間に余裕があれば、リグーリア海岸に位置するチンクエ・テッレへの日帰り旅行も検討できます。カラフルな家々が建ち並ぶ美しい漁村群は、イタリアでも有数の観光地です。
アスティへのアクセス
アスティへのアクセスは、主に鉄道が便利です。トリノから直接電車で約1時間、ミラノからも乗り換えを含めると数時間でアクセス可能です。アスティ駅からは、市内中心部まで徒歩で移動できます。
まとめ
アスティは、歴史、文化、そして何よりも食とワインを愛する人々にとって、まさに楽園のような場所です。中世の趣を残す街並みを散策し、歴史的な建造物に思いを馳せ、そして何よりも、この地で生まれた珠玉のワインと、それを引き立てる豊かなピエモンテ料理を堪能する。そんな贅沢な時間を過ごすことができるでしょう。
アスティ・スプマンテの故郷として、その名前を冠したワインを味わうだけでも訪れる価値はありますが、この街が持つ奥深い魅力は、きっとあなたの期待を上回るはずです。次のイタリア旅行では、ぜひアスティを訪れ、その魅力を肌で感じてみてください。

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