クロアチアの宝石、アドリア海の真珠「スプリト」
アドリア海に面したクロアチア第二の都市、スプリト。その魅力は、単なる美しい港町に留まりません。2000年以上の歴史を持つローマ皇帝の宮殿を中心に発展した旧市街は、ユネスコ世界遺産に登録され、まるでタイムスリップしたかのような景観が広がります。青い海、白い石畳、そして温かい太陽に包まれたスプリトは、訪れる人々を魅了してやみません。この記事では、スプリトの魅力、見どころ、グルメ、そして周辺情報まで、詳しくご紹介します。
スプリトの歴史と魅力
スプリトの心臓部とも言えるのが、ディオクレティアヌス宮殿です。4世紀初頭にローマ皇帝ディオクレティアヌスが晩年を過ごすために築いたこの巨大な宮殿は、現存するローマ建築の中でも最も保存状態が良いものの一つ。宮殿の遺構は、現在も市民の生活空間として息づいており、迷路のような小道、中庭、そして地下の回廊を歩けば、古代ローマの雰囲気を肌で感じることができます。
宮殿を取り囲むように発展した旧市街は、石畳の細い路地が入り組み、至る所に歴史の痕跡が残されています。夜になると、ライトアップされた宮殿や石畳の道が幻想的な雰囲気を醸し出し、散策するだけでも特別な体験となります。
ディオクレティアヌス宮殿:時を超えた建築遺産
ディオクレティアヌス宮殿は、単なる防御壁に囲まれた要塞ではなく、王宮、神殿、浴場、劇場など、当時の都市機能の全てを備えた複合施設でした。現在、宮殿の大部分は市場やカフェ、住宅、店舗として利用されており、古代の構造と現代の生活が融合したユニークな景観を作り出しています。宮殿の地下には、当時宮殿の排水や食料貯蔵に使われていた地下迷宮のような空間が広がっており、一部は公開されています。ここを歩くと、宮殿の壮大さと当時の生活の様子を想像することができます。
宮殿の正面玄関にあたる黄金の門、西側の銀の門、南側の青銅の門、そして北側の鉄の門は、それぞれ異なる特徴を持っています。特に青銅の門は、宮殿から直接アドリア海へと通じており、かつての皇帝の威厳を感じさせます。
ペリスティル広場:宮殿の中心
宮殿の中心にあるペリスティル広場は、かつては皇帝が儀式を行うための広場でした。広場に面して建つ聖ドゥイェ大聖堂は、元々ディオクレティアヌスの霊廟として建てられたもの。その鐘楼からは、スプリトの街並みとアドリア海を一望できる絶景が広がります。広場にはカフェが点在しており、古代の遺跡に囲まれながらコーヒーを楽しむという、他では味わえない贅沢な時間を過ごすことができます。
リヴァ(海岸通り):活気あふれる水辺の散歩道
ディオクレティアヌス宮殿の南側、海に面して広がるのがリヴァです。ここはスプリトの顔とも言える場所で、日中は地元の人々や観光客で賑わい、夜になるとさらに活気を増します。ヤシの木が立ち並ぶ遊歩道沿いには、おしゃれなカフェやレストラン、お土産物屋が軒を連ね、海を眺めながらの散策や、テラス席でのんびり過ごすのに最適です。夕暮れ時には、空と海が茜色に染まる美しい光景を楽しむことができます。
マルヤン丘:スプリトのオアシス
スプリトの西側に広がるマルヤン丘は、市民の憩いの場であり、美しい自然に恵まれた公園です。丘の上からは、スプリトの旧市街、アドリア海、そして対岸の島々まで見渡せるパノラマビューが楽しめます。丘の斜面には、松林が広がり、散策路が整備されているので、気軽にハイキングを楽しむことができます。また、丘の途中には古い教会や修道院もあり、歴史と自然の両方を楽しめるスポットです。
スプリトのグルメ:アドリア海の恵みを味わう
アドリア海に面するスプリトでは、新鮮なシーフードを存分に味わえます。地中海料理をベースにしたクロアチア料理は、オリーブオイル、ニンニク、ハーブなどをふんだんに使い、素材の味を活かしたシンプルな調理法が特徴です。
シーフード料理:新鮮な海の幸
スプリトで外せないのが、新鮮な魚介類を使った料理です。ペルシュン・ディ・バイオ(パセリとニンニクで和えた白身魚のグリル)や、リゾット・イ・ネロ(イカ墨のリゾット)、そしてプーレ・イ・モルフォ(ムール貝のワイン蒸し)は、ぜひ試していただきたい逸品です。リヴァ沿いのレストランはもちろん、旧市街の隠れ家のようなお店でも美味しいシーフードに出会えます。
プラタ・ダルマティナ:ダルマチア地方の家庭料理
ダルマチア地方ならではの家庭料理も魅力的です。ペーカ(肉や野菜をドーム状の鉄鍋でじっくりと調理した料理)は、特別な日に食べられるご馳走で、柔らかくジューシーな肉や野菜の旨味が凝縮されています。また、パシュティツァーダ(牛肉をワインや野菜で煮込んだ伝統的な煮込み料理)も、手間暇かけて作られるダルマチア地方の代表的な家庭料理です。
地元のワイン:アドリア海の太陽を浴びて
クロアチアはワインの産地としても知られています。スプリト周辺でも、地元のワイナリーで作られる美味しいワインを楽しむことができます。特に、ダルマチア地方で採れるブドウを使った赤ワイン「ドゥブローヴナチュカ」や、爽やかな白ワイン「グラセヴィーナ」は、シーフード料理との相性も抜群です。地元のワインを片手に、スプリトの夜をゆっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。
スプリト周辺のおすすめ観光地
スプリトは、周辺の美しい島々や歴史的な都市へのアクセスも良好なため、日帰り旅行にも最適です。
フヴァル島:アドリア海の人気リゾート
スプリトからフェリーで約1時間で行けるフヴァル島は、ラベンダー畑や美しいビーチで知られる人気の観光地です。特に夏場は、多くの観光客で賑わい、活気あふれるリゾートアイランドとしての一面を見せます。フヴァルタウンは、絵のように美しい港町で、石畳の通りを散策するのも楽しいでしょう。
ブラチュ島:ゾラトニ・ラットの奇跡
スプリトからフェリーで約1時間半のブラチュ島は、そのユニークな形状のビーチ「ゾラトニ・ラット(黄金の角)」で有名です。このビーチは、風や波によって形が変化する不思議な場所で、アドリア海でも屈指の美しさを誇ります。島全体がオリーブ畑やブドウ畑に覆われ、素朴な魅力に溢れています。
トロギール:中世の宝石箱
スプリトからバスで約30分、ユネスコ世界遺産に登録されているトロギールは、保存状態の良い中世の都市です。小さな島に築かれた都市は、迷路のような石畳の路地、美しい教会、そして堅固な城壁に囲まれており、まるで中世にタイムスリップしたかのような気分を味わえます。スプリトとはまた違った、静かで落ち着いた雰囲気を持っています。
ドゥブロヴニク:アドリア海の真珠(日帰り可能だが時間注意)
「アドリア海の真珠」と称されるドゥブロヴニクは、スプリトからバスで約3〜4時間と少し距離がありますが、日帰りも不可能ではありません。しかし、ドゥブロヴニクの見どころを十分に楽しむためには、一泊することをおすすめします。城壁に囲まれた旧市街は、息をのむほどの美しさです。
スプリト滞在のヒント
スプリトを訪れる際には、いくつか知っておくと便利な情報があります。
ベストシーズン
スプリトのベストシーズンは、春(4月〜6月)と秋(9月〜10月)です。この時期は気候が穏やかで、日差しも暖かく、観光に最適です。夏(7月〜8月)は非常に暑く、観光客も多いため、避けるのも良いでしょう。
移動手段
スプリト市内の移動は、旧市街であれば徒歩で十分です。少し離れた場所へ行く場合は、バスが便利です。周辺の島へは、フェリーやカタマラン(高速船)を利用します。
宿泊
スプリトには、高級ホテルからアパートメント、B&Bまで、様々なタイプの宿泊施設があります。旧市街の雰囲気を味わいたいなら、宮殿周辺のホテルやアパートメントがおすすめです。
まとめ
スプリトは、古代ローマの歴史、美しいアドリア海の景観、そして美味しいクロアチア料理が融合した、魅力あふれる都市です。ディオクレティアヌス宮殿という唯一無二の観光スポットを中心に、活気あふれるリヴァ、緑豊かなマルヤン丘、そして周辺の美しい島々へのアクセスも抜群です。スプリトを訪れることは、単なる旅行ではなく、時を超えた歴史と、地中海の豊かな自然、そして温かい人々の暮らしに触れる、感動的な体験となるでしょう。アドリア海の宝石、スプリトで、忘れられない思い出を作ってみませんか。

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