ブール=カン=ブレス

観光・フランス

ブール=カン=ブレス:フランス・オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方の隠れた宝石

フランス東部、アン県に位置するブール=カン=ブレスは、豊かな歴史、美しい建築、そして美味しいグルメで知られる魅力的な都市です。リヨンから電車で約40分というアクセスの良さを誇りながらも、派手な観光地とは一線を画す、落ち着いた雰囲気と地元の人々の温かいおもてなしが、訪れる人々を魅了してやみません。この都市の魅力を、詳細な情報、周辺情報、観光スポット、グルメ、そして私の感想を交えて、余すところなくお伝えします。

ブール=カン=ブレスの歴史と概要

ブール=カン=ブレスの歴史は古く、中世にはサヴォワ公国の重要な拠点として栄えました。その繁栄ぶりは、現在でも街に残る壮麗な建築物から伺い知ることができます。特に、16世紀に建てられた王立修道院(Monastère royal de Brou)は、そのゴシック様式とルネサンス様式が融合した美しい姿で、街のシンボルとなっています。

街の中心部は、歴史地区として美しく保存されており、石畳の小道、趣のある広場、そして色とりどりの花々で彩られたバルコニーが、歩くだけで気分を高揚させてくれます。また、ブール=カン=ブレスは、ブレス鶏(Poulet de Bresse)という、フランスで最も有名な鶏肉の産地としても知られています。その品質の高さから、世界中の美食家を魅了しており、この地を訪れるなら、ぜひ味わっておきたい逸品です。

周辺情報とアクセス

ブール=カン=ブレスは、リヨンというフランス第二の都市から非常にアクセスしやすい場所にあります。リヨン・パール=デュー駅からは、1時間に数本、電車が運行しており、所要時間は約40分です。リヨン・サン=テグジュペリ国際空港からも、リヨン市内を経由すれば容易にアクセスできます。

公共交通機関は、市内バス網が発達しており、主要な観光スポットや駅への移動に便利です。レンタカーを借りることも可能ですが、旧市街は徒歩での散策が最も適しています。

周辺地域には、自然豊かな景色や、歴史的な村々が点在しています。例えば、レ=ザ=コーム(Lélex)のようなジュラ山脈のスキーリゾートや、アン渓谷(Ain Valley)の美しい風景は、日帰り旅行に最適です。また、ワイン愛好家には、ボージョレ(Beaujolais)地区への訪問もおすすめです。ブール=カン=ブレスを拠点に、周辺の魅力を探訪するのも楽しいでしょう。

主要観光スポット

王立修道院(Monastère royal de Brou)

ブール=カン=ブレスを訪れるなら、絶対に外せないのがこの王立修道院です。16世紀初頭、サヴォワ公フィリベール2世が、若くして亡くなった妻マルゲリット・ド・オーストリアのために建てたもので、その壮麗さは息をのむほどです。ゴシック様式を基調としながらも、ルネサンス様式の影響を受けた装飾が随所に見られます。特に、精巧な彫刻が施された石棺は圧巻です。

修道院内には、礼拝堂、回廊、そして修道士たちが生活していた部屋などが保存されており、当時の生活を垣間見ることができます。また、中庭に広がる静寂とした空間は、心を落ち着かせるのに最適です。訪れる時間帯によって、光の差し込み方が変わり、異なる表情を見せてくれます。早朝や夕暮れ時の訪問もおすすめです。

マルシェ=デュ=ジャラール広場(Place du Marché-Gérard-Philipe)

街の中心にあるこの広場は、ブール=カン=ブレスの生活の中心であり、活気にあふれています。特に、水曜日と土曜日には、地元の人々が集まるマルシェ(市場)が開かれ、新鮮な野菜、果物、チーズ、そして地元の特産品が所狭しと並びます。地元の食文化に触れる絶好の機会です。広場周辺には、カフェやレストランが立ち並び、休憩がてら食事を楽しむのも良いでしょう。

ブール=カン=ブレス美術館(Musée de Brou)

王立修道院の敷地内にあるブール=カン=ブレス美術館は、フランドル絵画やフランス絵画、そして現代美術まで、幅広いコレクションを所蔵しています。特に、19世紀から20世紀初頭にかけてのフランス絵画は充実しており、印象派の作品なども見ることができます。修道院の静謐な空間とは対照的に、芸術作品に触れることで、より深みのある体験が得られます。

サン=ピエール教会(Église Saint-Pierre)

街のもう一つの重要な教会が、サン=ピエール教会です。こちらも歴史的な建造物であり、その美しいファサードと内部の装飾は、訪れる人々を魅了します。静かに祈りを捧げるもよし、建築の美しさを堪能するもよし、心静かに過ごせる場所です。

グルメ:ブレス鶏と地元の味覚

ブール=カン=ブレスを訪れる上で、最も期待すべきはやはりブレス鶏(Poulet de Bresse)でしょう。この鶏は、その品質の高さから、フランスでは「鶏の王様」とも称されています。特徴は、赤みがかった足、青みがかった羽根、そして白い顔。飼育方法にも厳格な基準が設けられており、自然環境の中で自由に育てられ、トウモロコシや牛乳で育てられるため、肉質がきめ細かく、風味豊かです。

レストランでは、様々な調理法でブレス鶏を味わうことができます。シンプルなローストチキンはもちろん、クリームソースやキノコを使った料理も絶品です。ぜひ、この地でしか味わえない本場の味をご堪能ください。

ブレス鶏以外にも、この地域には魅力的なグルメがたくさんあります。:

  • ブレス産ブルーチーズ(Bleu de Bresse):クリーミーでマイルドな味わいのブルーチーズは、ワインのお供に最適です。
  • コション・ド・ブレス(Cochon de Bresse):ブレス豚も、ブレス鶏と同様に高品質な食肉として知られています。ジューシーで旨味のある豚肉料理もおすすめです。
  • 地方のワイン:近隣のボージョレ地区や、ブルゴーニュ地方のワインとの相性も抜群です。地元のワインを片手に、美食を堪能してください。

地元の人々が集まるビストロでは、家庭的で温かい雰囲気の中で、地元の料理をリーズナブルに楽しむことができます。観光客向けのレストランだけでなく、そういった隠れ家のようなお店を探してみるのも、旅の醍醐味です。

私の感想とまとめ

ブール=カン=ブレスは、期待を遥かに超える魅力にあふれた都市でした。リヨンのような大都市の喧騒から離れ、ゆったりとした時間を過ごしたい方には、まさに理想的な場所と言えるでしょう。王立修道院の荘厳さは、訪れる者を静かに魅了し、街を歩けば、石畳の小道、可愛らしい雑貨店、そして地元の人々の温かい笑顔に包まれます。

そして、何と言ってもグルメです。ブレス鶏は、これまでの鶏肉の概念を覆されるほどの美味しさでした。その繊細な風味とジューシーさは、まさに「王様」と呼ぶにふさわしい逸品です。新鮮な食材が豊富に手に入るこの地で、地元の味覚を存分に堪能できたことは、旅の大きな喜びでした。

ブール=カン=ブレスは、派手さはありませんが、その奥ゆかしさと、本物のフランスの魅力を静かに秘めた、まさに隠れた宝石のような都市です。歴史、文化、そして美食。それら全てが調和したこの街で、心癒されるひとときを過ごせることを、自信を持ってお勧めします。

まとめ:ブール=カン=ブレスは、王立修道院を中心とした壮麗な建築、ブレス鶏をはじめとする絶品グルメ、そしてリヨンからのアクセスの良さを兼ね備えた、フランスの穴場とも言える都市です。静かで落ち着いた雰囲気の中、歴史と美食を心ゆくまで堪能したい旅行者にとって、忘れられない体験となることでしょう。

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