ブザンソン:フランス東部の宝石、緑豊かな街の魅力
フランス東部、ジュラ山脈の麓に位置するブザンソンは、穏やかなドゥー川に抱かれた、緑豊かな歴史都市です。かつてブルゴーニュ公国の首都として栄え、現在もフランシュ=コンテ地方の中心都市として、その豊かな歴史と文化、そして美しい自然景観で訪れる人々を魅了し続けています。この記事では、ブザンソンの魅力に迫ります。
ブザンソンとは?:地理と歴史背景
ブザンソンは、フランスとスイスの国境に近い、ジュラ山脈の北端に位置しています。街の中心を流れるドゥー川は、街を二分するように蛇行し、その両岸に古くからの街並みが広がっています。この地形が、ブザンソンの独特の景観を作り出しています。ローマ時代から人が住み始め、中世には神聖ローマ帝国に属し、その後ブルゴーニュ公国の支配下に入り、その首都として繁栄しました。17世紀にはルイ14世によって要塞化され、その軍事的要衝としての役割も担いました。こうした歴史の変遷が、街の至るところにその痕跡を残しています。
ブザンソンの見どころ:歴史的建造物と文化施設
シタデル・ド・ブザンソン:街を見守る要塞
ブザンソンの象徴とも言えるのが、街を見下ろす丘の上にそびえ立つシタデル・ド・ブザンソンです。17世紀にヴォーバンによって設計されたこの要塞は、ユネスコ世界遺産にも登録されており、その保存状態の良さと壮大さで圧巻です。要塞内には、動物園、博物館(歴史博物館、民族誌博物館、抵抗・追放博物館)、そして美しい庭園があり、一日中楽しめます。要塞の城壁からは、ブザンソンの街並みとドゥー川のパノラマビューを堪能できます。
カテドラル・セント・ジャン:歴史と芸術の殿堂
街の中心部にあるカテドラル・セント・ジャンは、ロマネスク様式とゴシック様式が混在する美しい大聖堂です。内部には、17世紀の画家ペーレによる見事なフレスコ画が描かれており、その色彩と繊細な筆致は訪れる者を魅了します。静謐な空間で、歴史と芸術に触れることができます。
旧市街とグラン・リュ通り
ドゥー川沿いに広がる旧市街は、石畳の小道と歴史的な建造物が立ち並び、散策するだけで楽しいエリアです。特に、グラン・リュ通りは、かつてのメインストリートであり、趣のある店舗やカフェが軒を連ねています。ウィンドウショッピングを楽しんだり、カフェで一息ついたりするのに最適です。
ミュージアム・オブ・ファイン・アーツ・アンド・アーキエオロジー
ブザンソン美術館としても知られるこの美術館は、中世の絵画から現代アートまで、幅広いコレクションを誇ります。特に、17世紀から18世紀のフランス絵画は充実しており、美術愛好家には見逃せないスポットです。
ブザンソンの周辺情報:自然とアクティビティ
ブザンソンは、豊かな自然に囲まれた街でもあります。周辺地域では、様々なアクティビティを楽しむことができます。
ジュラ山脈:ハイキングとアウトドア
ブザンソンから日帰りで行けるジュラ山脈は、ハイキングやサイクリングに最適な場所です。美しい森林、清らかな湖、そして雄大な山々が広がり、都会の喧騒を離れてリフレッシュするのにぴったりです。特に、秋には紅葉が美しく、ハイカーに人気です。
カヌー・カヤック体験
ドゥー川では、カヌー・カヤックを楽しむことができます。穏やかな流れで、街の景色を水上から眺めるのは格別な体験です。夏には、家族連れにも人気のアクティビティとなっています。
シャトー・ド・ジュ:中世の城跡
ブザンソンから車で少し行ったところにあるシャトー・ド・ジュは、中世の城跡です。丘の上に築かれた城からは、周囲の景色を一望でき、歴史を感じさせる雰囲気が漂っています。写真撮影にもおすすめです。
ブザンソンのグルメ:フランシュ=コンテ地方の味覚
ブザンソンを訪れたら、ぜひフランシュ=コンテ地方ならではの美味しい料理を堪能したいものです。この地方は、チーズとワインの産地としても有名です。
コンテチーズ:必食の味
フランシュ=コンテ地方を代表するチーズといえば、コンテチーズです。厳格な製法で作られるコンテチーズは、ナッツのような風味とクリーミーな口溶けが特徴で、そのまま食べるのはもちろん、料理にも幅広く使われます。チーズ専門店で様々な熟成度のコンテチーズを試してみるのも良いでしょう。
フォアグラ:贅沢な逸品
この地域は、フォアグラの産地としても知られています。レストランでは、フォアグラのテリーヌやソテーなど、様々な調理法で提供されるフォアグラを味わうことができます。濃厚でクリーミーな味わいは、まさに贅沢な逸品です。
ポワソン・デ・ジューラ:川魚の恵み
ドゥー川が流れるブザンソンでは、新鮮な川魚も楽しめます。特に、パイク(カワカマス)やマスなどは、シンプルに焼いたり、ソースで煮込んだりして提供されます。川魚ならではの繊細な味わいを堪能できます。
地方ワイン:ジュラワイン
フランシュ=コンテ地方は、ジュラワインの産地としても有名です。特に、酸化熟成させた独特の風味を持つ「ヴァン・ジョーヌ」や、軽やかな赤ワイン「ピノ・ノワール」は、地元の料理との相性も抜群です。地元のワインバーで、お気に入りの一本を見つけてみてください。
伝統的な菓子
ブザンソンには、伝統的な菓子店も多くあります。「テュール・デ・ブザンソン」と呼ばれる、アーモンドを使った焼き菓子や、地元の蜂蜜を使ったお菓子など、素朴で美味しいものがたくさんあります。
ブザンソンでの滞在:宿泊と交通
宿泊施設
ブザンソンには、高級ホテルからアットホームなゲストハウス、そしてアパートメントタイプまで、様々なタイプの宿泊施設があります。旧市街に滞在すると、観光に便利です。
交通アクセス
ブザンソンへのアクセスは、パリからTGVで約2時間半、リヨンからは約2時間です。国内の主要都市からのアクセスも良好です。市内交通は、トラムやバスが発達しており、観光にも便利です。レンタカーを借りると、周辺の自然豊かな地域へのアクセスが格段に便利になります。
まとめ:ブザンソンを訪れて
ブザンソンは、歴史、文化、自然、そして美食が融合した、魅力あふれる街です。壮大なシタデルから、石畳の小道、そして美味しい地元の味覚まで、訪れる人々を飽きさせません。派手さはありませんが、ゆったりとした時間の中で、フランスの地方都市ならではの温かさと豊かさを感じることができます。一度訪れれば、きっとその魅力に引き込まれることでしょう。次の旅の目的地として、ブザンソンを検討してみてはいかがでしょうか。

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